ブラック企業とは?

「一般常識では考えられない言動を行い・労働をさせる企業の事」


と言えるでしょう。

例えば労働時間。
現行の標準労働時間は「8時間」と決められて居ます。
(驚く事に、労働形態が激変した現在においても尚、この分野の法律には数十年前のものが使われています)

この8時間労働は、欧米が経験則から導き出した、「人間が許容できる一般的な長さの労働時間」の数値であり、高社会福祉国家ではこの時間を出来るだけ短くしようと言う動きになっています。
(最近では世界規模の自由経済の流れに押され、必ずしも上手く行ってはいない様です)

逆に米国の様な格差過当競争社会では、むしろ長時間労働を奨励する方向へと向かっています。
日本の場合は欧州同様長い歴史があるにも関わらず、経済的にはむしろ米国を模倣しています、それは日本の大企業経営者のかなりの人々が、「米国で経済を学んで来た」・・・と言う事実とも関係しています。

ブラック企業と言う呼び方は最近頻繁に使われるようになってきましたが、実はブラック企業は単独でいきなり世の中に発生してきた訳ではありません。

皆さんの中にはオウム真理教と言うカルト宗教をご記憶の方も多いと思います。
ブラック企業の手口はまさに、「そのカルト宗教」と殆ど同じなのです。
以下にブラック企業に関する記事を掲載します。


労働基準監督署も「従業員側が耐えてもらいたいというのが本音」…
現役ブラック企業社長が、社員を安くこき使う華麗な手口を暴露!
2012.10.30

「A氏 文句を言うような人間は採用していない。文句や不満を言わせないよう、社内の雰囲気を日頃からつくっている。また最初にガツンとやっているので、社員から不満だの文句だの出ない。」



【社長の迷言・妄言】ワタミ会長が語る「シゴト」と「生き方」
ひたすら“夢”を語り社員を洗脳!? ワタミ会長自己啓発本に見る“前向き思想”
2013.06.13
渡辺美樹会長が「365日24時間死ぬまで働け」
2013.06.05 18:00

「夢を追う人は人生を後悔しない」
「きみたちに今夢がないのは、親の責任である。親に夢がないから、子どもにも夢がないのだ」と独自の理論を展開し、「夢なくして何が人生か!」
「出来ないと言わない」
「365日、24時間、死ぬまで働け!」
『「仕事は、成し遂げるもの」と思うならば、「勤務時間そのもの」に捉われることなく仕事をします。なぜなら、「成し遂げる」ことが「仕事の終わり」であり「所定時間働く」ことが「仕事の終わり」ではないから』



こうして見て行くと、ブラック企業に特徴的なのがまず「洗脳」だと言う事が分かります。
「会社(経営者)批判」を決して許さず、「独自の(一般常識としては通用しない)思想」を徹底的に従業員に対して植え付けるのです。

あのオウム真理教が多用したのがまさにこの「洗脳」です。
オウム真理教ではその組織運営において、「教祖への絶対服従」「教義の刷り込み」「薬物」「電気ショック」「密室監禁」「一人の信者を多数の信者で囲み、脱退希望者を批判」等の洗脳を行った事でよく知られています。

ブラック企業では「社訓」として社長への「絶対服従」を強いる為に、配布する内部文書等でその旨を徹底させます。
内部文書は「社外秘扱い」されている事が多く、「外部に自らの行為が露呈する事を防ぐ」為、外部にその事実を告発しようとする恐れのある者に対しては、「告訴する」等の脅しをかける場合が多いのです。

そうして組織への批判と告発を防いだ後、「長時間労働の強要」「残業代ゼロ方針」等の徹底へと話を進めて行きます。

人間は、徹底的に痛めつけられると(肉体的にも精神的にも)、「反抗する気力」を無くすそうです(北朝鮮人民がその良い例でしょう)、極限まで追い詰められた精神状態のもとでは、楽になりたい一心で、何も考えずに相手の言いなりになる場合が多いと言います。

かつて世界の諸王朝では、「拷問」と言う手段により国家への反抗を防ぎ、相手を自分の意のままにする試みが行われてきました、オウムなどのカルト宗教でも同様に、拷問と言う手段が信者の忠誠維持の為に採られて来たのは記憶に新しい所です。

「そんな大げさな、幾らブラック企業でも拷問までは」とお思いになられた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし拷問は何も肉体的なものばかりでは無いのです、あなたはこの拷問をご存知でしょうか?

「暗い部屋に一人寝たままにし、頭部に少しずつ水滴をたらす」

ただこれだけです、外見上相手に対し苦痛を与える要素は何もありません、が、「この拷問は非常に効果が高い」のだそうです。

どの様な屈強な男でも、この拷問に耐えることは出来ないと言われています。
長時間の水滴投下はやがて精神崩壊を引き起こし、水滴が当たる部分の頭部の血流は止まり、やがて穴が開くそうです。

「外見的に大した事は無い」様に見える行為が、実は大きな効果を持った「拷問」である場合があると言うお話しです。


例えば前述したA氏のこの手法はそれに該当するでしょう。


A氏 給与は月に13万5000円。残業代はない。勤務時間は一応、朝9時から夕方5時まで。昼休みも1時間ある。しかし社員はみんな、自発的に朝は8時には会社に来ている。夜も自発的に終電に乗れるまでは働いている。泊まり込みも自発的に行ってくれている。月2回は土曜日も出勤。そうしないと仕事が回らないからね。

ーー本当に、それだけの勤務時間を要するほどの仕事があるんですか?

A氏 ない。意図的に「仕事のための仕事」をつくって、長時間働かせているだけだ。

ーーなぜ、そのようなことを?

A氏 長時間働かせ、ピリピリした社内の空気に長く触れさせることで、余計なことを考えさせないようにするためだ。今の言葉でいえば「社畜」というのかな。そうすることが目的だな。


「意図的に「仕事のための仕事」をつくって、長時間働かせる」
「長時間働かせ、ピリピリした社内の空気に長く触れさせることで、余計なことを考えさせないようにする」


「無駄な長時間労働を強い、相手の思考力を低下させ、絶えず従業員を緊張下に置き」やがて会社のロボットにしてしまう・・・・・まさに「洗脳・拷問そのもの」です。
同様の考え方を、ワタミ・渡邉氏の発言からも見出せます。


「夢なくして何が人生か!」
「きみたちに今夢がないのは、親の責任である。親に夢がないから、子どもにも夢がないのだ」と独自の理論を展開し、「夢なくして何が人生か!」
「出来ないと言わない」
「365日、24時間、死ぬまで働け!」



まず自らの理想である「夢」について従業員に対し刷り込みを行います。
そうしてその(自らの)夢を実現する為に、従業員に対し「出来ないと言わない」と釘を刺し、最後に「365日、24時間、死ぬまで働け!」と訓示します。

つまり、「365日24時間、死ぬまで働く事を「出来ない」とは言わせない」・・・と述べている訳です。

表面上はただ「訓示」しているだけの様に見えますが、「出来ないと言わない」と意識へ刷り込む事により、従業員から心の余裕を奪い去り、その上で「365日、24時間、死ぬまで働け!」と語ります。
長時間薄給労働の結果、疲労の極に達した従業員はやがて反抗する気力すらも失ってしまうのです。

究極まで疲労が溜まれば、北朝鮮国民同様に最早思考する気力すらも無くなり、唯々諾々と「賃金カット・長時間労働」を受け入れるロボットと化してしまうのです。(仮に労働組合結成等の動きが社内で起これば、ブラック企業経営者は「解雇」「配置転換」と言う手段でそれに応じます)

その上でブラック企業経営者は、「会社が嫌なら辞めればいい」と述べるのです。

夢を語りながら、個々人の夢を実現する為に必要な準備行動の為の「余暇」を奪い去り、究極まで賃金すらも削り「貯金」すらまともに出来なくしてしまう。

夢を実現する為にも、転職をする為にも時間とお金は必要なのですが、その両方を奪い去り、気力をも奪い去り、仕舞には従業員を「奴隷」とする事が、ブラック企業の最終目的です。

そんな状況下でも、一人や二人は必ず「組織に抵抗する猛者」が居るものですが、ブラック企業経営者はそう言う人達に対する備えも忘れては居ません。

かつて読売のナベツネオーナーが、清武英利氏とのジャイアンツのヘッドコーチの人事をめぐった騒動に関し「こっちが法廷に持っていくよ。10人の最高級の弁護士を用意している。法廷なら我が方の最も得意とするところだ。俺は法廷闘争で負けたことがない」と述べたのは記憶に新しい所です。


※ナベツネオーナーの件は、以下の記事で詳しく説明されています。

ナベツネ&読売の代理人・TMI総合法律事務所に3人の最高裁判事が天下り 癒着するメディアと司法
黒薮哲哉
15:03 01/21 2012


ブラック企業経営者はナベツネ氏同様に「巨額の資産」を保有していますので、万が一の法廷闘争でも「必ず勝てる」との自信を持っています。

ブラック企業を取り締まるはずの労働基準監督署は、前述した記事にある様に、仕事をする気は全くありませんし、政治家は渡邉氏の立候補の件でお分かりの様に、いつでも政治資金を提供してくれる側の味方です。
司法の頂点たる最高裁判所裁判官は、「内閣が任命する」の言葉通り、今も昔も政治家の下僕に過ぎません。


ワタミ会長の参院選出馬を歓迎する~「ブラック企業」議論に終止符を~
中嶋よしふみフォローする2013年06月26日 07:51

これは2012年11月に大阪高裁で出た判決だ。大阪労働局に対して行われた情報開示請求で、一審の地裁では原告が勝訴したものの、二審の高裁では逆転敗訴した。現在は最高裁の判決を待っている状況のようだが、労働局(国)の開示をすべきでないとする根拠がまるでブラックジョークのような内容だ。

1・企業名が公表されると自殺した人の個人情報が特定される
2・企業がブラック企業として認識されて被害を受ける
3・行政上の事務遂行に支障が出る 

いずれも合理的な理由とは到底考えられない。これらの主張を受けて国側を勝訴とした高裁判決の趣旨を自分なりに短くまとめると、「過労死の発生=違法行為の存在」では無い、無過失でもブラック企業という悪評が立ちかねないので安易な公表はすべきでない、という内容だ。国側の主張同様、裁判所の判決の趣旨もブラックジョークのレベルだ。



最近のブラック企業は「自らの行為の正当化」の為に数字を多用する傾向にある様です、これは万が一法廷闘争になった際、「自社の正当化」に使う為だと思われます。

例えば離職率です。
「うちは離職率が低いからブラック企業ではない」などの様に使います。

しかし前述した様に、洗脳や拷問同様の方法で離職を抑えているのが現状です。
(特に昨今の経済情勢も労働者に離職を躊躇させる原因となっています、また、次回の就職先が現状以上にブラックな所だったらどうしよう・・・・と言う不安心理も躊躇に拍車をかけます)

36協定は、一流(ブラック)企業が良く正当化の為に利用します。
36協定は殆どの場合「正社員と企業」の間で締結されたものであり、その意思決定プロセスには「非正規社員」は介在していない事が多いのですが、そう言う現状を隠し、「労働者側(実は正社員だけ)もこのルールを認めている(だから問題ない)」と言う、「自己正当化」の為にこの協定は利用される事が多いのです。

平均賃金にしてもそうです。
例えば、業界の平均給与が300万円だったと仮定します。
それを知ったブラック企業の社長が「うちの会社の平均賃金は400万なので、うちはブラックではない」と発言したとします。

しかしその「400万」と言う数字が「どの様に算出したものであるか(公平性)」が明白でなければ、その数字を業界平均の300万と比べる事は不可能です。

例えば、他社が管理職を抜かした社員給与の平均額を使用しているのに対し、役職付き社員のみの平均給与をブラック企業が使用している様な場合には、「ブラック企業の平均賃金の方が大きく出てくる」のが明らかだからです。


いずれの場合も、「わが社には何も問題がない」と言う事を強調する為に、ブラック企業は恣意的に数字を利用する場合が多いので、鵜呑みには出来ません。

官僚も頻繁に数字のマジックを使い政治家を騙すそうですが、ブラック企業も本質は全く同じです。
企業が自己正当化の為に「数字」を持ち出してきた場合は、その数字がどの様な経緯でどの様に決まったのかを注意深く調べる必要があるでしょう。

最後に、過激な排外主義が記事を賑わす今の世の中ですが、私は、彼らとブラック企業の台頭は、それぞれに無縁ではないと考えています。

彼らとブラック企業経営者の共通点、それは、「利用できる者をとことん利用し、利益にならない者は徹底的に排除しようとする」点です、その為にはどんな手段でも講じるのが、彼らの大きな特徴なのです。

「目的の為には手段を選ばない」、そんなマキャベリズム的な思想が、彼らの根底には流れています。
「自分はブラック企業とは無縁の業界社員なので、ブラック企業と自分は全く関係がない」・・・そう考え、他人事だとその様な重要問題を放置した時点で、それはやがて形を変えて、いずれは自分自身にも降りかかって来る事になるのです。



ナチス時代のドイツ、ルター派牧師マルティン・ニーメラーの詩

最初に彼らが共産主義者を弾圧したとき、私は抗議の声をあげなかった。
なぜなら私は、共産主義者ではなかったから。
次に彼らによって社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、
私は抗議の声をあげなかった、
なぜなら私は、社会民主主義者ではなかったから。
彼らが労働組合員たちを攻撃したときも、
私は抗議の声をあげなかった、
なぜなら私は労働組合員ではなかったから。
やがて彼らが、ユダヤ人たちをどこかへ連れて行ったとき、
やはり私は抗議の声をあげなかった、
なぜなら私はユダヤ人ではなかったから。
そして、彼らが私の目の前に来たとき、
私のために抗議の声をあげる者は、誰一人として残っていなかった。


元記事。

はびこる排外主義とレイシズムに
日の丸が泣いている
http://diamond.jp/articles/-/34875?page=5

より引用。 



36協定に胡坐をかき、非正規労働者を助けてこなかった連合傘下の大企業社員が今どの様な目に遭っているかを考えれば、上記の詩の意味が容易に理解できると思います。 

中高年退職者を食い物に!
ハローワークが紹介する“辞められないブラック企業”